天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
闇の言い分
外に出され、5メートル程の空中にテレポートさせられたアルテミアは、何とか体勢を立て直し、地面に着地した。

「ここは?」

アルテミアが開けた穴のすぐ横だった。

「チッ」

舌打ちすると、また穴に飛び込もうとしたら、

一斉に銃を構える音がした。

いつのまにか、数百人の防衛軍が、アルテミアを囲んでいた。

アルテミアは、チェンジ・ザ・ハートをにぎりしめ、四方を囲む防衛軍を睨んだ。

「何のつもりだ」


1人の軍人が、一歩前に出た。隊長のようだ。

「ここは、防衛軍本部です。例え、特許が認められている勇者と言えど、無断で入ることは、禁止されています」

「なんだとお」

アルテミアは睨みを効かしながら、一歩前に出た。

一斉に、銃口が向く。

「あたしは、誰の指図も受けない」

アルテミアは、銃を構える兵士達を見回した。

兵士達は、少し震えている。

「ここから、去って頂きたい」

隊長の言葉には、なぜか力がこもっていた。



「誰が、逃がせと言った」

隊長の横に、フードを被ったラルが現れた。

隊長は、敬礼した。

「私は、アルテミアを殺せと命じたはずだ」

ラルは、隊長の方を向いた。

隊長は敬礼を崩さず、

「はっ!しかし、彼女は勇者であり、これまでも、数多くの魔物を退治してきた。人類の宝であり」

「違う!」

ラルの一喝が飛んだ。

隊長は軽く、飛び上がる。

ラルは隊長に近づき、

「こいつは、勇者ではない…こいつは、単なる化け物だ。我々人類が、倒すべき化け物なんだ」

耳元で囁いた。

「化け物…」

隊長の額に、汗が流れた。

「そうだ。こいつは、人間ではない…。そう思うだろ?お前達も」

ラルの瞳が、赤く輝く。


「てめえ!誰が化け物だ!」

アルテミアは、チェンジ・ザ・ハートを構えながら、ラルに叫んだ。

ラルはにやりと笑い、隊長から離れて、囲む兵隊よりも、後ろに下がった。


「化け物…。人と違う化け物…」

隊長が呟く。

「化け物…。人と違う化け物」

囲む兵士が呟く。

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