天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
僕の脳裏に、マリーやジュリアンとの戦いが甦る。

「僕は、その度に…死というものを感じ、強さというものを考えました」

戦いとは、力と力の戦いだけでなく…創造力の戦いなのだと。

「神と人の違いは、力だけでなく――何かを生み出す力の差なのかもしれない」

僕の脳裏に、アルティメット・モードになるアルテミアが映る。

「だけど…人は、人を作れないけど…何かを作ることはできる。例えば、料理、そして、この町とか…」

僕は、店内を見回し、

「人にも、創造力はあります。神ほどの力のない分、凄い想像力はあります」


「君は、何が言いたい?」

「人は…決して、神に負けないということです」

僕は、自然と微笑み、

「人は、負けていても…負けたと、自分が認めないかぎり、負けることはないのです。心が負けないかぎり」

僕は、ドラゴンキラーを構え、光と消えたサーシャを…ジュリアンの最後の表情を思い出した。

「僕は、負けない!決して!それが、アルテミアと戦ってきた僕が、この世界で、感じ、最後まで守る気持ちです」

僕は、拳を突き出した。

しばし、ダラスと見つめ合う。


「では…先を急ぎますので」

拳を下ろし、僕はダラスに頭を下げた。

そして、カウンター内にいる店主に言った。

「ごちそうさまです。いくらですか?」

カードを取り出し、支払いを済まそうとすると、

ダラスが遮った。

「店主。俺が払おう」

「え!」

驚く僕に、ダラスは笑いかけ、

「遠慮せずに、奢らせてくれ。この街を助けてくれた礼をしたら、安いものだ」

ダラスはそう言うと、おもむろに拳を突き出した。

僕は、その拳に、自分の拳を合わせた。

そして、二人は笑い合った。
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