天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
頭を下げ、手を振る僕を、街の入り口まで見送ってくれたダラスは、

ゆっくりと遠ざかっていく僕の背中を、見つめた。


「隊長。このまま見送っていいのですか?あの力、人間のものとは思えませんが…」

ダラスの隣までやってきた戦士が、心配そうにきいた。

ダラスはゆっくりと、首を横に振り、

「彼は…人間だよ」

「そうでしょうか?私には…」

「彼のあの後ろ姿…彼女を思い出すよ。救世主ティアナ・アートウッドを」

かつて見送った勇者。彼女は、世界を救った。



「異世界からの…エトランゼか…」

ダラスは呟いた。

「エトランゼ…?何ですか?それは」

ダラスは苦笑し、

「この街の昔話さ…。この前は、世界を救う者の旅立ちの門となる…だから、何があっても、この街を守らなくてはならないと」

ダラスの目に、旅立つ赤星と、もう一人…女性が映る。

「異世界からのエトランゼよ。この世界を頼む」

ダラスは、去りゆく後ろ姿に、深々と頭を下げた。
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