天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「何?」

さっきまで、学校の教室で読書をしていた西園寺俊弘は、まったく知らない世界にいた。

いきなり、目の前が真っ暗になり、

まったく知らない草原に立っていた。

「ここは…」

隣から、声がしたので振り向くと、守口舞子がいた。

「どこだ?ここは…」

後ろからも、声がしたので振り返ると、制服姿の男が二人と、女が1人いた。

4人とも、西園寺は知っていた。

(副会長の守口に…剣道部の松永…。それに…チンピラの橋本。女は、学年首席の佐々木神流!?)

まったく、4人に接点はなかったが、このメンバーを見て、西園寺は納得した。

(どいつも、癖があるやつらだ)

西園寺は、四人を確認してからは表情を隠した。

四人を知っているとはいえ、話したことはない。気を抜く訳にはいかなかった。

なぜならば…。

西園寺は、右手を握り締めた。

(多分、こいつらは絶対…ブラックカードを持っている)

自分と同じように。


「これが、ブラックカードか…」

いつのまにか、手にしていたカードをまじまじと眺める松永伸介。

(こいつは…)

一番最初に、口にした松永を、西園寺はちらっと見た。

「これを使ったら、好き放題できるんだよな」

ブラックカードをひらひらさせて、嬉しそうに話す橋本正志。

(こいつらは、大したことない)

西園寺が心の中で、ほくそ笑んでいると、隣を歩いていく女がいた。

佐々木神流だ。

鼻筋が通った端正な顔に、すらっとした細身の体。

頭もよく、育ちも良いから、お嬢様として、人気があった。

佐々木は、誰よりも前に出た。

五人が立つ場所は、小高い丘になっていた。そこから、見下ろす広大な大地には、小型の竜が群れをなして、歩いていた。

地平線の向こうでは、太陽が沈みかけており、その太陽の前を、羽を広げた五メートルはあるトンボに似た生物が、飛んでいた。




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