天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ありえない」

アルテミアは六枚の翼を開き、飛び上がると、四方八方から遅い来る竜を避けることなく、受け止めようとする。

その時、炎の竜の口の中から、何かが飛び出して来た。

赤い瞳を輝かせ、両手につけた鉤爪を突き出しながら、目にも止まらない速さで出てきた炎の化身。

呆気にとられたアルテミアが対応する前に、鉤爪はアルテミアの首筋に突き刺さろうとした。

「赤星!?」

アルテミアは、襲い掛かってきた者を確認できた。

雰囲気、気配…感じる気さえ、知っている赤星と違っていた為、アルテミアはすぐにわからなかった。

「赤星!」

アルテミアは、もう回避できなかった。

無数の炎の竜を引き連れて、赤星の爪が、喉元に突き刺さる。


(駄目だよ!)

赤星の頭に、閃光のような声が突き抜けた。

「明菜…」

赤星ははっとした。瞳の色が、黒に戻った。

スピードは落ち、自分がどこにいるかわからない。

我に返った赤星の目の前に、アルテミアがいた。

「アルテミア!?どうして…」

さっきまでの記憶がない僕は、事態を飲み込めない。

戸惑っていると、アルテミアは空中で、蹴りをぼくに放った。

訳分からず、ふっ飛んだ僕は、地面に激突する前に、鉤爪を地面に突き立てて、体勢を整えた。

回転し、地面に足から着地した僕を、アルテミアが睨んでいた。

「お前も…お前も…お前もなのか!」

ライトニングソードを構えながら、アルテミアは僕に向かってくる。

「アルテミア!待って!僕は、友達を救いに来ただけなんだ」

戸惑っている余裕はない。

次々に繰り出される剣を、避けなければならなかった。

両手の鉤爪で、受けとめるが、

「保たない!」

鉤爪が、受ける度に、削られていく。

「アルテミア!僕の話しを聞いて!」

「うるさい!」

背中を一瞬見せ、体を捻ると、渾身の一撃を鉤爪に叩き込まれた。

「な…」

呆気なく、鉤爪は折れた。

「死ね!」

アルテミアは、返す剣で、下から上へ切り上げた。

鮮血が舞った。


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