天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
勿忘草
「敵は、本能寺にあり!」

凄まじい罵声と、切りあう音。

炎が盛る中、僕はいた。

「早く!あたしに変われ!」


アルテミアの声を無視して、僕は立ち尽くしていた。


一面…赤におおわれた広間に、立ち尽くす2人。

「フン」

僕の前方…炎の向こうにいる武将は、鼻で笑った。

「この国の者とは、少し違うと思っておったが…お主は…この世界の者ではないな?」

「この世界?…やはり、ご存知でしたか…」

僕は、炎に包まれても、微動だにしない武将を、真っ直ぐに見ていた。


「信長様」

それは、追い詰められた者の姿ではなく、堂々とし、炎ですら、彼の為の演出のように思えた。

「蘭丸から、聞いておった」

森蘭丸…。

すなわち

守蘭丸は、

この世界の者では、なかった。

異なる世界の、異なる時代の人物に力を貸した…罪人。

彼は、時の罪を犯したことにより、本能寺に炎が放たれ瞬間…消滅していた。

やはり…変えられなかったという言葉を残して…。

それは、魔法の限界を示していた。

時を、時空を超えてまで、彼は何を、求めたのか。




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