天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「時を越える」

アルテミアは、六枚の翼を広げた。

足元を通り過ぎていく人口衛星が突然、

逆に周りだし、地球の自転も、逆回りになる。

すぐに、人口衛星の存在が消え、

一瞬、日本の辺りから、二本のキノコ雲が見え、

やがて、地球は青さを増していく。

「いくぞ」

アルテミアは、水に飛び込むように、青く美しい水の惑星にダイブした。

六枚の翼で体をくるみ、アルテミアは大気圏に突入する。

瞬間、大気の摩擦で、視界が赤くなったが、

すぐに青くなり、雲を突き抜け、地図で見慣れた日本の形へ、突っ込んでいく。

海の青が視界から消え、茶色と緑…そして、湖の形が確認できた時、

アルテミアは、六枚の翼を広げ、速度を落とす。


風の感触を、肌やブロンドの髪で確かめながら、

アルテミアは地上に、近づいていく。

落ちる速度が、落ち着いた時、僕は驚きの声を上げた。

アルテミアの右側で、上がり始めた朝日に照らされた――巨大な建造物。

「お城だ…」

それは、僕が実世界で見たことがある…古びた過去の遺物ではなく、

すべてが光輝く…畏怖堂々とした要塞に思えた。







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