天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
まだ状況を把握できない五人の間に、沈黙が流れる中…いきなり、紅の後ろの砂が爆発した。

凄まじい砂埃が、僕達の周囲を囲む。

そして、

その砂埃たちが、何百人の魔物の形に変わる。

「こいつらは…」

サーシャが、素手で構えていた。

砂は集まり、形作っていく。

「天空の…」

アルテミアは、周りを見て、舌打ちし、

「騎士団!でも、こいつらは」

チェンジ・ザ・ハートをトンファータイプに変えた。

「全員…片付けたはずだ」

砂は色がつき…黒い翼を広げ、鴉天狗に似た兵士達になり、宙に舞う。

ロバートは、愕然とした。

「魔法が使えない!」

手を広げて、結界を張ろうとしたが、発動しない。

「当たり前でしょ…世界が違う。召喚する扉も、存在しないわ」

紅は、肩をすくめた。

魔物の爪が、

戸惑っている僕の前髪を、切り裂いた。

「赤星」

助けに行こうとするアルテミアの前に、魔物の壁ができる。

「退け!A Blow Of Goddess!」

トンファーを槍に変え、アルテミアは女神の一撃を放つ。

風と雷鳴が、空間に走る。

しかし、吹き飛んだ魔物は、砂に戻り、砂埃が治まると、すぐにもとに戻る。

「何!?」

アルテミアは絶句した。技の威力も弱い。



「1カ所に固まるんだ」

僕は何とか逃げることができ、アルテミアたちと背中を合わせで、敵と対峙した。

紅だけは、動かない。

「紅さん」

紅に向かって、魔物達が爪を突き立てた。




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