天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「女狐が…」

信長は僕を離すと、背筋を伸ばし、体に一本線が入ったように、姿勢を正した。

手に握る短刀が、日本刀に変わる。

気合いを入れた一太刀を、紅は受け止める。

火花が散る。

信長は、不敵に笑った。

「さすがは、女の身でありながら…世界を獲ったことがあるだけあるわ」

2人は、離れた。

信長は、両手を広げ、気を溜める。

「しかし…所詮。貴様は、芸者」

信長は、ゆっくりと上段の構えをとる。

「武士には、かなわぬ」

「何度も、言ったはずですよ」

ひらりと、信長の一撃をかわすと、

「あたしは、歌手」

紅のチェンジ・ザ・ハートが、砂に戻ると、紅は歌いだした。

それは、歌詞はなかったが、とても綺麗で、シンプルなメロディーだった。

「この歌…」

薄れゆく意識の中、僕はその曲を知っていた。

幼い頃にきいた曲。

紅の歌が放つ意志の強さにより、広間にいる者達は、動けなくなった。

信長と蘭丸だけが、何とか凌いでいる。

広間の壁の表面から、砂に戻っていく。


「赤星!」

ロバート達には、綺麗な歌としか感じない。

「YASASHISAだ…」

意識か遠退く中…僕は、思い出した。

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