天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「今のうちだ」

ロバートとサーシャは、意識を失った僕を抱え、

そのまま…広間から、飛び出した。

そこは、天守閣の一番上だった。

窓のすぐそばで、軍用ヘリが飛んでいた。

プロペラの出す風が、きつい。

「飛び乗るわよ」

後ろから、紅が3人を追い越し、飛んだと思った瞬間、

剣を作り出し、中にいた自衛隊員を一瞬にして、切り裂いた。

隊員は、砂になった。

「早く!」

「逃がさぬ!」

後ろから、信長の獣のような声が、聞こえた。

迷ってる暇はなかった。

僕を抱えながら、2人は機内に飛び乗った。

「くらえ!」

飛び乗った瞬間、

サーシャは、隠し持っていたナイフを、迫りくる信長に放った。

ナイフは、信長の額に刺さったが、すぐに、外へはじき返された。

「化け物め…」

サーシャ-の歯軋りとともに、ヘリは安土城を離れていった。

「アルテミアは!」

アルテミアが付いて来ていないことに、ロバートは気付いた。

「彼女なら、大丈夫」

頷く紅の落ち着いた表情と違い、機体は激しく揺れている。

「操縦できるんですか?」

心配そうなロバートの声に、操縦桿を握った紅は、

微笑んだ。

「無理みたい…」

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