天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「くそ!」

独り毒づいていても、気分は晴れなかった。

飛んでいた翼が、崩れていく。

砂に戻っていく。

空中から、墜落するように、アルテミアは地面に、激突した。

砂にめり込み、地面を突き抜け…アルテミアは、また空から落ちる。

上も下もない世界で、何度も砂の地面を潜り抜け、

何度も落ちていく。

「くそ」

数十回目で、アルテミアはやっと、歯を食いしばると、

地面に激突し、砂埃は上げったが、今度は地面にめり込むことはなく、

アルテミアは片膝をつきながらも、砂の上に存在することができた。

「そうだ…」

アルテミアは、自分の掌を見た。

少し砂がこぼれる体。

「砂か…」

薄々分かっていた。

この世界に来て、赤星と分離した訳を。

「あたしは…肉体を持っていない…」

アルテミアから、こぼれる砂は、地面に積もっている砂よりは、輝いていたが、

風により、すぐに周りと混ざり、同化していく。

「あたしも…砂…」

寂しげに、顔を伏せたアルテミアの体から落ちる砂の量が、増えていく。

「そう…砂よ!」

アルテミアは、自嘲気味に笑い、崩れる体をただ...見ていた。
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