天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「そうだ。君の世界だ」

蘭丸は、僕を見据え、

「人が繁栄し、神の如く君臨している唯一の世界…。そして、魔法が使えない唯一の世界」

「唯一の世界だと」

よろけながらも、ロバートは前に出た。

蘭丸は頷き、

「その世界で、俺は探した!人として、生まれた魔王を!」

「魔王?」

僕は首を捻った。

「そうか…お前達は、知らぬな…ライの顔を」

「ライ?」

「魔王のことだ」

ロバートが、僕に教えてくれた。

「何年もかかり、あらゆる時代を探り、俺は見つけた!あのお方を!」

「それが…信長!」

ロバートの言葉に、にやりと笑うと蘭丸は、

「信長様を王に!俺は、あの世界に、攻め込む!この砂の軍勢で!」

蘭丸は興奮したように、息を荒げた。

「不可能だ!」

ロバートは叫んだ。

「この世界と、我々の世界は違う!」

「それが、できるのさ!女神の力があれば!空間を渡れる力が、あれば」

「そうよ!あんたがいればね」

「魔王の血を色濃く受け継ぐ…あんたがいれば」

蘭丸の顔が、変わる。

2人の女に。

「ネーナ!マリー!」

僕は思わず、後ろに下がった。

それは、2人の女神だった。


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