天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「馬鹿な」

蘭丸は、目を覚ました。

そこは、城の中。

天守閣の一番上だった。

明かりをつけず、暗がりの中、信長がいた。

「夢は覚めたか…」

蘭丸は起き上がり、

慌てて土下座し、深々と頭を下げた。

「今回のことは、申し訳なく…」

信長は上座で、ただ酒をくらう。

「信長様…」

信長は、飲み干した大皿を、蘭丸に突き出した。

「は!」

頭を下げると、蘭丸はお酒をつぐ為、上座に近付いた。

暗闇の為、わからなかったが、信長の後ろに、首が2つ転がっていた。

「膿は、取ってやったぞ」

それは、2人の女神の首だった。

首は、蘭丸に見られると、砂に戻った。

蘭丸は、動揺しながらも、酒瓶を取り、大皿に注ぐ。

「何とか…なりそうではないか。人間だけでも」

注ぎ終わると、瓶を置き、蘭丸は頭を下げながら、後ろに下がる。

「は」

信長は、大皿を片手で傾け、

「人もすてたものではないな」


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