天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
事務員と僕の間のカウンターの上に、青い水晶玉が浮かぶ。

水晶玉じゃない。

地球だ。

僕は、カウンターの上に浮かぶ小さな地球に、顔を近付けた。

僕が知っている地球よりも、とても青い。

地球は回り始める。

「うん?」

僕は顔をしかめた。

僕が知っている東ヨーロッパから、中国、インドにかけてが、真っ黒だ。

そこだけ、全然見えない。

「なぜ黒いんですか?」

素朴な疑問を口にした僕に、

事務員がえ?と、驚きの顔を見せた。

僕は、訝しげに事務員を見た。

「ここは…魔王の領域です。ですから…私達の力では、捜索できません」

僕は、回る地球を眺め、

「今いるところは…」

「日本ですが…」

事務員は、何言ってんだ、こいつ…というような顔をしながらも、一応は丁寧にこたえる。

「日本…」

僕は、地球を覗き込む。

2カ所が光り出した。

「え!?」

事務員は地球に顔を近付け、思わず声を上げた。

光ってる部分は、僕が知っている韓国と北朝鮮の国境辺りと…。

「ここ…!?」

事務員や周りにいた人々が、ぎょっとなる。

探査用の式神が、捜索所内に現れ、

僕の頭の上を旋回した。
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