天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
バランスを崩すポセイドンが、青竜刀を地面に突き刺し、

何とか、倒れるのを阻止すると、

鋭い視線を感じ、顔を上げた。

そこには、冷ややかに見下ろすアルテミアの顔があった。

「そんな…馬鹿な…ありえん」

ポセイドンは、青竜刀を引っこ抜くと、アルテミアから離れた。

ポセイドンの全身が、汗だくになる。

底知れぬプレッシャーが、目の前に立つアルテミアから、感じられた。

「あり得ない…あってはならない」

ポセイドンは刀を握り返し、アルテミアへ向けて、一歩だけ前に足を出した。

アルテミアは動かない。


「なぜだ…手応えはあった」

大したダメージを受けていないアルテミアの全身を、観察した。

「お、お前は…誰だ?」

そこにいる者は、明らかに異質だった。

ポセイドンが、知るアルテミアでもなく…誰とも決め付けることのできない…圧倒的な威圧感が、魔王ライを想起させた。


「しかし!」

ポセイドンは刀を、振りかぶった。

「我は、海の神ポセイドン!我は、これくらいで、退けぬわ」

ポセイドンは青竜刀を、アルテミアの頭上から振り下ろした。

その動きに合わせるように、アルテミアは再び槍を持つと、ポセイドンに向かって、歩き出した。

「我に、女神の一撃は効かぬわ」



アルテミアは、無表情でポセイドンに向かっていく。

別に、刀を避けるでもなく、槍を振るうでもなく…。

「死ね!」

渾身の一振りは、アルテミアを切ることなく…擦り抜けていく。まるで、映像を切るかの如く。

アルテミアの体が、ポセイドンの体さえ、擦り抜ける刹那の時間、

ポセイドンは、凄まじい攻撃を受けた。

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