天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「畜生…」

アルテミアは、唇を噛み締め、何とか力を振り絞ろうとした。

その度に、全身からふき出す血が…アルテミアの力を奪っていく。

「アルテミア…」

思わず茂みから、出ようとした西園寺より早く、回転する物体が2つ、アルテミアの背中と首筋を強打した。

「え…」

アルテミアは痛みを感じる前に、意識を刈られた。

左手を伸ばしたまま、アルテミアは気絶した。



「レイラ様」

アルテミアに手を突き出し、雷撃を放とうとしたバイラ達より早く、レイラはアルテミアを攻撃した。

2つの物体は、レイラの両手に戻ってくると、トンファーになった。

「とどめを!」

サラは、レイラに言った。

「フッ…」

レイラは、鼻で笑うと、

「なぜかしら…」

誰に言うでもなく、呟くように、口を開いた。遠くを見るような瞳を、アルテミアに向けながら、

「あたしは…あの子を知ってるような気がする…。思い出せないけど…」

レイラの顔に、何とも言えない悲しげな陰を感じたバイラは、

(危険だ)

一度下げた手を、アルテミアに向けた。

「サラ!ギラ!」

バイラの呼び掛けに、二人もは頷き、手をアルテミアに向けた。

「バイラ!」

「サラ!」

「ギラ!」

三人の手のひらが、電気でスパークする。


「ブレイク!」

三人の魔神から、雷撃が放たれる瞬間、

茂み中から、無数のミサイルと、光の矢が、魔神達とレイラに向かって、飛んでくる。

「うおおおっ!」

雄叫びを上げながら、西園寺は、召喚できるだけのミサイルを召喚した。

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