天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「さあ…どうするかしら?あたし達相手に、二人では、分が悪いのでは?」

じりじりと近づいてくるリンネに、クラークは次元刀を構えながら、自分のことより、舞子の身を案じた。

「余裕じゃない?」

ちらちらと舞子を気にするクラークの態度が、リンネのブライドを傷つけた。

「余裕があるじゃない。…舐めるな!」

リンネの両目が輝き、クラークを照らした。

「石化か!」

リンネの目の光を浴びたものは、石を化す。

しかし。

「何!」

光ったと思ったクラークの体が煌めき、

その光は、リンネに返ってきた。

「貴様!」

リンネの表面か、石と化す。

クラークの周りを、鏡のバリアが張られていた。

「お前の技が放たれると同時に、トラップが発動されるようにしていた」

クラークは、石化したリンネを睨みながら、

「お前達…騎士団長は、有名過ぎる。ある程度の対策をこうじておくのは、当たり前だろうが」

間を開けず、次元刀で、リンネを切り裂こうとしたが、

リンネの体にヒビが入り、中から怒り狂った赤いリンネが現れた。

「貴様!」

クラークは、軽率に飛び掛かるのをやめた。

相手は、騎士団長。魔神の中でも、最高の地位にいる。

間を開け、一定の距離を置くクラークを見て、リンネもまた怒りを鎮めた。

「さすがね。この前のガキ達とは違う」

リンネはそう言うと、舌なめずりをした。嬉しそうに。

その舌は、炎でできていた。



「クッ!」

ギラと対峙する舞子の髪が、いきなり逆立った。

ギラの体から出る微量な電気が、舞子の全身を軽く痺らせていた。

ギラはまだ、何もしていない。ただ身長165センチの舞子を見下ろしていた。

「お嬢さん」

ギラは、右人差し指をすうっと上げ…舞子の額辺りの高さで止めた。

「あんたに、怨みはないが……これが、我々とお前達人間との宿命と思い、観念しろ!」

ギラの指先が、光った。

光の槍が、真っ直ぐに伸びてくる。

舞子はかっと、両目を見開き、光の先を見つめた。

そして、

「時しぐれ」

舞子は叫んだ。

光の槍が消え、ギラの全身に時の雨が降り注いだ。
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