天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「なっ」

絶句するギラの体に、時が加算される。一瞬にして、百年の時が…。

しかし、

ギラには、まったく変化が見られない。

逆に、舞子が絶句した。

「成る程…」

ギラは、突き出した腕を曲げ、

「一瞬にして、相手を老化させる技か…しかし!」

ギラは、舞子に一歩近づいた。

舞子は、後ろに下がる。

「これくらいでは我には、痛くも痒くもないわ!我を老いさしたいなら、万年はいるわ!」

ギラの威圧感に、舞子は震え上がった。

時間をかければ、何年でも加算できる。しかし、一瞬にできるのは、百年が限度だった。

それに…。

「くそ!召喚!」

ミサイルアーマーを召喚した舞子は、全身に装備すると同時に、全弾をギラにたたき込んだ。

「やはりな」

ギラは避けることなく、ミサイルをその身で受けとめた。

凄まじい爆音と、煙が砂嵐をかき消した。

「これが、限界か!」

爆煙を切り裂いたギラの額の角から、雷鳴が天に向かって放たれると、空を覆っていた分厚い雲が、拡散した。

砂嵐は止み、晴天が辺りを照らした。

その眩しさに、目を細めた舞子の首筋に、野太い指が差し込まれ、絞めながら、持ち上げられた。

「時を操るという特殊能力!対価なしでは使えまい!」

「ウググ…」

首を絞められ、舞子は言葉が出ない。

「その能力を使った後は、しばらくは魔力が使えない!ミサイルなどに頼ったのが、その証拠!」


ギラは指先から、電流を流した。

舞子の全身が、おかしな形で跳ね上がり…やがて、意識を失った。

「さらばだ…名も知らぬ女よ」

ギラがさらに、電流を流そうとした…その時、

空中から、飛来するものがいた。



「守口!」

叫びながら、舞子を掴むギラの腕の関節部分に落下した炎の塊に、思わずギラは舞子を離した。

舞子は、地面に足から落下し…倒れる瞬間、炎の結界を解いた男が、舞子を受けとめた。

「遅かったな」

リンネと対峙するクラークが、男の方を見ずに、話し掛けた。

「すいません」

舞子を抱きとめたのは、西園寺俊弘だった。


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