天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「その為にも…俺はいかなければならない…」

クラークは、遥か彼方を見つめ、

「ロストアイランドへ」



「赤星くんにか…」

ロバートもまた…遥か彼方にいると思われる赤星浩一の姿を、思い浮べた。

最後に会ったのは、数ヶ月前だが…もう何年も、会っていないような気がした。

気が優しく、普通の少年だった赤星が、誰よりも強くなっていく姿を、ロバートは近くで見ていた。

少年を、無理矢理戦わせたのは、自分かもしれない。

ただアルテミアの依り代としてなら、アルテミアが体を取り戻した後、彼はとっくに自分の世界に帰り、平穏に暮らしていたはずだ。

(それを止めたのは…俺にも責任がある)

ロバートもまた、クラーク達に背を向けた。

「今は…あんたにきいても、こたえてはくれない…いや、あんた自身にも、こたえは、でていないんだろ…」

自らの言葉の途中で、ロバートは、その場でテレポートした。


「どこに行く気ですか?」

ロバートが消えた後、西園寺はクラークにきいた。

「…大したところではないよ」

クラークは少し目をつぶった後、西園寺の方を見、

微笑んだ。

その笑みの優しさに、西園寺は少し不安を覚えた。


「少し留守にする。その間、防衛軍を頼む………それと…」

クラークは、西園寺に抱き抱えられている舞子に、視線を落とし、

「彼女も頼む」

「はい」

西園寺は頷き、クラークも頷いた。

そして、西園寺に背を向けると、ブラックカードを取出した。

「できれば…彼女には、自分の世界に戻ってほしい」

「え?」

予想だにしないクラークの言葉に、西園寺は驚いた。

「君と彼女…二枚のブラックカードをフル活用すれば…1人は、戻れるはずだ」

クラークは、振り返り、

「彼女は、この世界に向いていない…」

寂しげにそう言うと…クラークは、テレポートした。





しばし、呆然としてしまった西園寺の腕の中で、

舞子が目覚めるのは、もう少し後のことだった。

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