天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
永遠なる闇。
光が存在しない絶望の中で、一つの玉座が浮かんでいた。
漆黒の玉座は、闇よりも黒く…重さを感じる質量感が、まるで闇に突き刺さっているような印象を与えていた。
その漆黒の闇に、さらなる漆黒の闇が座っていた。
「フン」
闇は、鼻を鳴らすと…
低く、そして高い声で、口を開いた。
「隠れておらずに、姿を見せたら、どうだ?」
その言葉に、呼応したのか…小さな蝋燭のような炎が、闇に灯った。
それはやがて…大きくなり、人の形をとる。
そして、玉座の前に跪いた。
「ライの魔物が、何のようだ?」
跪く炎は、さらに深々と頭を下げ、
「我が主ライの命にて、参上つかまつりました。お初に、お目にかかります。我が名は、不動と申します」
ゆっくりと、不動は頭を上げ、
「魔王…レイよ」
「フン」
レイはもう一度、鼻を鳴らした。
「我はもう…魔王で非ず」
そう言うと、レイは目を見開いた。
すると、一瞬にして明かりがつき…玉座は、数段上にあり、不動が跪いているのは、血のような赤い絨毯の上だった。
謁見の間。
五十畳はある大理石でおおわれた広間で、レイは足を組み、玉座から、不動を見下ろしていた。
オーロラのように、揺らめく炎の体を硬直させて、不動はただレイの言葉を待っていた。
レイは赤く輝く、鋭い眼光を不動に向けながら、不機嫌そうに話しだした。
「用件は何だ?何もなく、あやつがわざわざ、お前をここに、寄越すことはあるまいて…」
不動は跪いたまま、摺り足で、一歩前に出た。
「もうご存知かと思われますが…この地に迷い込みし者についてです」
「フン!」
レイはまた、鼻を鳴らすと、
「あの…人間崩れのバンパイアか?」
「そうでございます」
不動は決して、レイの目を見ようとはしなかった。
光が存在しない絶望の中で、一つの玉座が浮かんでいた。
漆黒の玉座は、闇よりも黒く…重さを感じる質量感が、まるで闇に突き刺さっているような印象を与えていた。
その漆黒の闇に、さらなる漆黒の闇が座っていた。
「フン」
闇は、鼻を鳴らすと…
低く、そして高い声で、口を開いた。
「隠れておらずに、姿を見せたら、どうだ?」
その言葉に、呼応したのか…小さな蝋燭のような炎が、闇に灯った。
それはやがて…大きくなり、人の形をとる。
そして、玉座の前に跪いた。
「ライの魔物が、何のようだ?」
跪く炎は、さらに深々と頭を下げ、
「我が主ライの命にて、参上つかまつりました。お初に、お目にかかります。我が名は、不動と申します」
ゆっくりと、不動は頭を上げ、
「魔王…レイよ」
「フン」
レイはもう一度、鼻を鳴らした。
「我はもう…魔王で非ず」
そう言うと、レイは目を見開いた。
すると、一瞬にして明かりがつき…玉座は、数段上にあり、不動が跪いているのは、血のような赤い絨毯の上だった。
謁見の間。
五十畳はある大理石でおおわれた広間で、レイは足を組み、玉座から、不動を見下ろしていた。
オーロラのように、揺らめく炎の体を硬直させて、不動はただレイの言葉を待っていた。
レイは赤く輝く、鋭い眼光を不動に向けながら、不機嫌そうに話しだした。
「用件は何だ?何もなく、あやつがわざわざ、お前をここに、寄越すことはあるまいて…」
不動は跪いたまま、摺り足で、一歩前に出た。
「もうご存知かと思われますが…この地に迷い込みし者についてです」
「フン!」
レイはまた、鼻を鳴らすと、
「あの…人間崩れのバンパイアか?」
「そうでございます」
不動は決して、レイの目を見ようとはしなかった。