天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「姉さん…無理だよ!」

ぶつかり合う魔力が、火花を散らす中、

ただ一人逃げ惑うメロメロ。

そんな中、ただ一人で立ち向かうフレア。

森の木々の中を移動するフレア達に、次々に魔物が襲い掛かる。

「!」

フレアは、メロメロが着ている迷彩服の襟元を掴むと、羽を広げ、一気に加速した。

木々の隙間を猛スピードでくぐりながら、フレアは何かを探していた。

「姉〜さあん」

枝や葉っぱが、体に絡み付いても、メロメロには為す術がない。

フレアはさらに加速すると、木々を突き抜けた。

そこは、森と森の間にある百メートル四方の草むらだった。

メロメロの目に、天に輝く満月が映った。

フレアは、そこで羽をしまうと、メロメロを足元に落とし、両手を左右に、突き出した。

「炎撃乱舞…」

ぼそっと呟いた瞬間、四方から魔物達が、襲い掛かる。

と同時に、魔物達の目の前が、突然破裂し、細かい火の玉が、魔物達に炸裂した。

吹っ飛ぶ魔物達。

しかし、

魔物達はすぐに、体勢を整えて、フレアに再び襲い掛かる。

「馬鹿目!こんな程度の火力!大したことはないわ!」

カマキリのような姿に、蛇の顔をした魔物が、すぐにフレアに、接近する。

「馬鹿は、お前達メロ」

フレアの足元に座るメロメロが、肩をすくめた。

「姉さんは、優しいメロ。できるだけ、森を燃やしたくないから、魔力を押さえているメロ!それに…」

フレアは、接近するカマキリの魔物に、回し蹴りをたたき込んだ。

フレアの右足が、カマキリの首筋にヒットした。

「姉さんは、接近戦が得意メロ」

蹴りをくらって、吹っ飛んだ魔物が、何とか立ち直り、巨大な鎌を振り上げた瞬間、

カマキリの穴という穴から、炎が吹き出した。

「ぎゃあああ!」

カマキリの全身は、真っ赤になり、蒸気を吹き出しながら、倒れていく。

「姉さんは、触れた相手の体液を沸騰させることが、できるメロ!」

月に照らされながら、フレアの体が舞う。

次々に襲い掛かる魔物に、蹴りやパンチをたたき込んでいく。それだけで、雑魚の魔物は、沸騰し…死んでいく。

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