天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「やったメロ!」

もう襲い掛かってくる魔物が、いなくなり、

緊張を解こうとしたフレアの後ろに、気配がした。

振り返りざま、バックパンチを繰り出したフレアの拳を、誰かが掴んだ。

「強くなったな」

そこにいたのは、フレアの倍はある…炎の人型。

炎の騎士団長、不動だった。


フレアは振り向きざま、体を回転させ、腕を極めようとしたが…………………………何の感覚もない。

「忘れたか?私の体は、炎でできている。人間のような関節は、存在しない」

フレアは、腕を離すと、

「ハッ!」

気合いとともに、正拳突きを、不動の腹にくらわした。

「何度も言わせるな…私は炎だ」

フレアの拳が当たったところから、炎が吹き出したが…それだけだ。

「お前の技は、私には無意味だ…。それに」

不動はスゥと、手を伸ばし、フレアの肩を掴んだ。

「キャッ!」

フレアの口から、悲鳴が上がった。肉が、焼けるような音がして、苦痛に歪むフレア。

「姉さん!」

メロメロが、フレアに近づこうとしたが、不動の一睨みで、

メロメロはその場で、腰を抜かした。

「き、き、き…騎士団長…」

目の前に立つ圧倒的な魔力に、メロメロはガタガタ震え、息もできなくなる。

不動はすぐにメロメロから、視線を外すと、掴んでいた肩を離した。

その場で崩れ落ちたフレアの肩から、煙が上がる。

「同じ炎の騎士団といえ…お前と私では、レベルが違う」

フレアは肩を押さえながら、立ち上がった。鋭い目で、不動を睨みながら。

「ほう」

不動は目を細め、フレアを見つめた。



「かつては、姉に守られるだけのお前が…これほどの闘気…一体何があった?」

不動の言葉に、フレアはこたえない。ただ、構えをとる。
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