天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
囚われ者
「兄貴!」 

叫んだように、メロメロは思ったが…本当は声なんて、ほとんど出ていなかった。

だけど、

突風は、月の方から吹いてきた。

風は、フレアと不動の間を吹き抜けた.。

「ほお…」

感心する不動の腕が、真ん中で切断され、

風はフレアを抱き抱えると、不動の前で、止まった。

「お前が、赤星浩一か…」

フレアの首筋を掴んだ腕は消えると、不動の腕の切断面から、新しい炎が燃え盛り…すぐに新しい腕に変わった。

「…フレア…大丈夫か?」

喉が焼けたのか…声がでないフレアは、ただ頷いた。


何とか大丈夫そうなフレアに頷くと、僕は心の中で胸を撫で下ろしながら、前方に立つ不動を睨んだ。

炎の塊であり、顔の部分が…温度差だろうか…黒くなった部分が、人の顔に見える不動は、微笑んだように見えた。

「兄貴!気を付けて!こいつは、騎士団長メロ!さっきまでの雑魚とは、違うメロ!」

メロメロの忠告が耳に入ったが、僕は負ける気がしなかった。

不動に対峙すると、僕は無防備なまま、一歩間合いを詰めた。

「さっきの言葉…そっくりそのまま、お前にかえそう」

僕は両手を下げたまま、近づいていく。

「お前と、俺とはレベルが違う…」

「フン!少し前までは、ただの人間だった坊やが、よく言う」

不適な笑みを浮かべた不動の左右を、後ろから回転する2つの物体が、通り過ぎた。

それらを両手で受けとめると、僕は胸元でクロスさせた。

「ライトニングソードか」

不動は目を細めると、両手を突き出し、手の指を上に向け、初めて構えのようなものを取った。

その瞬間、

「なに?」

僕は、目を見開いた。

「Blow Of Goddess」

不動は、呟くように言った。

「フレア!メロメロ!」

僕が叫ぶのと、地面が激しく揺れて裂けるのが、同時だった。

「ひぇ~!」

メロメロの足元も崩れ、地面の裂け目に足をとられる。

「兄貴!」

絶叫とともに、体が沈む刹那、フレアが飛んできて、メロメロの脇に腕を差し込むと、上昇し、ジグザグに空を飛んだ。




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