天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「俺は死なないメロ…。これからは、兄貴の中で生きるメロ…。兄貴…俺の血を吸って…元気になって…あいつを倒して…さあ、俺の血を吸って」

メロメロは最後の力を振り絞って、自分の首筋を僕の口元に、持っていった。

「兄貴…」

僕は目をつぶり、涙を流した。

泣くわけにいかない。

「兄貴…」

「メロメロ…」

僕は口を開け、歯を首筋に当てた。

「さよならじゃないメロ…。兄貴…姉さんを頼む…」


そのまま…メロメロの首は下がり、僕の口元から崩れ落ちた。

受けとめるすべがない僕の膝の上で、メロメロは静かに眠りについた。


「愚かだな」

レイは、笑った。

声にならない声を上げ、泣く僕を見て。

「今のお前に、バンパイアの力はない…血を吸うこともできない」 

僕の口の周りについたメロメロの血を見て、レイは鼻で笑った。


「お前も…死ね」

レイは、指先を突き出した。まばゆい光が、指先から放たれた。

僕には、避けることもできない。

為す術がない。

だけど、僕は目をつぶらない。

レイを睨みつける。

(死ねるか!)

心の中で、強く願った。

「何?」

その瞬間、レイの放った光線を、飛んできた物体が、弾いた。

「チェンジ・ザ・ハート!」

僕の目の前に、弾いたチェンジ・ザ・ハートが飛び込んできた。

(動け!動け!指一本でいいから!)

チェンジ・ザ・ハートは、光線を弾くとすぐに、巨大な砲台に姿を変えた。

(メロメロ!力を貸してくれ!)

僕は、歯を食いしばり、唾を飲んだ。

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