天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
その時、唾とともに…歯についたメロメロの血がほんの少し、僕の喉に流れた。

僕の目が赤くなる。

「馬鹿な」

レイは、驚きの声を発した。

僕の手が上がり、チェンジ・ザ・ハートを掴んだ。 

バスターモード。

「いけええ!」

僕は、引き金をひいた。

巨大な光と炎のドリルが、レイを直撃した。

吹き飛ぶレイ。

僕の瞳の色が、消えた。

もう一度、引き金をひこうとしたが、もう動かなかった。

しかし、チェンジ・ザ・ハートの銃口は、レイに向け続けた。

「面白い!」

レイはとっさに、受けとめた右手が、焼けただれているのを確認して、嬉しそうに笑った。

「今、貴様を殺すのは、簡単だ!しかし…」

レイは、ゆっくりと僕に近づいてくる。

銃口を向け続ける僕に、レイは苦笑し、

「もう撃てまいて」

そう言うと、地面に倒れているフレアのそばに立った。

「少しの余興だ」

フレアを焼けただれた右手で掴むと、持ち上げた。

「その体で、これ以上何ができるか、見てみたくなったわ」

フレアを掴んだまま、空中に浮き上がる。

「この女を助けたければ、我が城に来い!」

「待て!フレアを離せ!」

僕の叫びを無視し、レイは空高く浮かんでいく。

「人の身と化した!その体でな」


「フレア!」




レイの姿は、すぐに見えなくなった。

チェンジ・ザ・ハートが、僕の手から落ちた。

足元に転がるチェンジ・ザ・ハートと、膝の上で眠りについたメロメロを見つめながら…僕は悲しさと悔しさで、


ただ泣き続けた。



強くなった。

強くなったはずだった。

強くなれば、守れるはずだった。

だけど…強くなった今の方が、僕は誰も守れていない。


「メロメロ…」


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