天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
それぞれの記憶
「これで、よかったのですか?」

マグマの湖を化した森の上に、浮かぶ二人の魔神。

「……」

サラの言葉に、バイラはこたえない。

ほんの数秒…バイラの横顔を見つめたサラは、視線を外すと、森の向こうで泣き叫ぶ赤星を、見つめた。

「単なる人の身と化した彼に、この先…生き延びることが、できると思いませんが…」

サラは、赤星に背を向け、その場から離れようとした。


「そうとは…限らない…」

バイラは口を開いた。

「彼には…不思議な力がある…」

バイラは、目を細め、赤星を凝視した。

「だとするなら…尚更、殺した方がよいのでは、ありませんか?バンパイアキラーとして、目醒める前に」

サラは振り返り、もう一度赤星を見た。

「それは、王は望んでいない。今はまだ…な」 

バイラは、目をつぶると、ゆっくりと赤星に背を向けた。

「いずれ…再び、会おう。赤星浩一」

バイラと、サラは蝙の羽を広げ、飛び去っていった。



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