天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「それは…」

こたえられたが、個人的なことだった。

自分の目的をぺらぺら、話す趣味はない。

それが、わかったのか…舞子は、歩き出すと、西園寺の手にある自らのカードに、手をかけた。

「あたしの目的は、それなの…。何があっても、彼を守る…」

西園寺に微笑みかけると、舞子はカードを取り返し、

西園寺の横のドアノブに、手をかけた。

西園寺は、初めて見た舞子の微笑みに、心を奪われていた。

元の世界にいた時は…美人だが…能面と言われる程、無表情だった舞子が、

こんな笑顔を浮かべるなんて…。


「だけど…。先輩と、クラークさんは、この世界で初めて会ったはず…」



「違うわ…」

舞子はゆっくりと、ドアを開け、

「昔から、知っていたわ」

そう言うと、静かに部屋を出ていった。

< 599 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop