天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
弊害
自らの体が、変わっていく感覚を、内側で感じながら、クラークは心の中で、目を閉じた。

(これで…最後だ)

もう自分は、人間ではなくなる。

魔物になる。

だが、人間の心は失っていない。

しかし、人間の姿に戻れない。

これが、魔力を持たない人間が、力を望んだ結果だ。

ゆっくりと目を開けると、驚く赤星の顔が見えた。


(彼は…バンパイアに、目醒めたはずなのに…)

クラークは、じっと赤星を見つめ、

(人間だ…)



それは、姿形ではなく、彼から感じる心が………そう思わせるのだ。


クラークの瞳にうっすらと…涙が浮かんだ。


(さあ………俺を殺せ!)


(非情になれ!)


(それができないならば………お前は、人を救うことなどできない)



< 613 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop