天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
先程から、この一帯を覆っていた黒い雲は…

雲ではなかった。

雲と思っていたものが、ゆっくりと降りて来て、

その真の姿が、確認できるようになった。

「蝙蝠…」

人々には、そう見えた。

雲を形どっていたのは、

数え切れない程の蝙蝠の大群だった。

ただし、一匹一匹が、人の数倍はある。

「翼あるもの達…」

司令官は呟いた。

天空の騎士団は、空を司るすべての魔物を傘下に治めていた。

「障壁の外に、こんなに…」

あまりの数の多さに、防衛軍の人々は、唖然とし…ただ、天を見上げるだけだった。


「何を、ぼおっとしておるか!結界士達を全員、こちらに集めろ!ドーム状の結界を、この建物を中心にして、張らせろ!」

いきなり、司令官の怒声が響く。

「しかし、障壁は…」

「騎士がいるんだ!意味はない!今は、全員が生き残ることが先決だ」

司令官の命に、伝令が飛ぶ。

式神が飛び回り、周囲に命令を伝える。

魔法結界士達は、障壁を張りながら散開し、

障壁の形を変える。

「守る距離は、さっきの半分でいい!強固なバリアを張れ!攻撃できる者は、バリアの外を目掛けて、撃ちまくれ」
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