天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「意志?」

「そうよ」

女は、叩く手を止め、椅子に深く座りなおし、

「その世界の学者に、そういう理念はないんだけど…みんな単なるレベルの差という単純な言葉を、つかうんだけど…あたしは、2つの力があると思ってる」

女は再び、新しい煙草をくわえた。

「一つは、あんたの世界と同じ…核やミサイル…もっと下なら、切り傷のような直接的な力。もう一つは…」

ここで、煙草をふかし、

「魔王の雷撃のような…直接的な破壊力と…まったく異質な力を持つ…呪いのような力…」

女は、キーボードに再び指を走らせ、

「呪いは、おかしいかしら?」


「どうかな…」

なんとなく、女の言う言葉の意味を、西園寺は理解できた。


「呪いか…」

西園寺は、ブラックカードを取出し…まじまじと見つめた。

「司令代行に頼まれた…魔獣因子と…それに伴うブラックカードの暴走ですけど…」

女は、キーボードに指を走らせ、

「どんなに検索しましても、それらに関する情報は、ありません」

画面に、エラーの文字が点滅する。

「モード・チェンジに関しては?」

「アルテミアの属性チェンジとしか…人体実験をしたという実証は、ありません…」


「すべての情報が…ないと」

「はい」


西園寺は、首を捻った。

安定者である自分が、閲覧できない情報はないはずだ。

しかし、なさすぎる。
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