天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ライトニングウェーブ!」

僕は、ライトニングソードを横凪ぎに払った。

雷撃の衝撃波が、三日月の形をとりながら、骸骨の騎士を切り刻む。

一瞬は、道が広がるが…すぐに、大軍に道を埋められた。

「ほ、ほとんど…前に進まない…」

激しく息をする僕の背後から、骸骨の騎士が剣を振り上げて、襲い掛かる。

「クソ!」

僕は、回転して、ウェーブを放った。また骸骨はいなくなるが、すぐに新しい骸骨が穴を埋めた。

空間さえ切れるライトニングソードを持っている為、幽霊である骸骨も切れるが、如何せん…数が多すぎる。

ライトニングソードで切れる間合いだけを残し、骸骨の騎士達は、完全に、僕を包囲していた。

「赤星…やばいよ」

僕のTシャツの中で、怯えるティフィンに、話し掛ける余裕もない。

息が上がってきた。

突入して、三時間くらい。

万近くの骸骨を切ったけど…減ってるようには見えない。

城は見えるが、そこまで骸骨でぎっしりだ。

(空を飛べたら…)

この大陸でなければ、空を飛ぶためのアイテムを、召喚できたのに…ここでは、カードシステムは使えない。

少しふらついた僕に、ティフィンは胸に手を当て、回復魔法をかける。

「ありがとう」

何とか体力は、回復したが…これをずっとやっても、前に進まないし、

いずれ、体にがたが来る。

「どうする?」

ライトニングソードを構え、じりじりと進もうとする僕に、プレッシャーをかけるように、少しだけ骸骨の群れが、僕に近づく。

またライトニングウェーブを放つが…同じことだ。


(策はないのか!)

自分自身に問い掛けたが…答えはない。

「チッ」

舌打ちした僕は、一か八かで、このまま群れに突進しょうかと、ライトニングソードを握り締めた。

「うおおお!」

雄叫びを上げ、突進しょうとする僕の頭の中に、声が響いた。


(チェンジ・ザ・ハートを使うのです!かつて、あなたが海を渡った時を、思い出して)

その声に、僕ははっとなった。

それは、自分から戦うことを決めたあの日。

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