天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「てめえには、関係ないだろ!」

アルテミアは、氷の剣を作り出し、ロバートのドラゴンキラーを受けとめた。

「関係ないだと!お前に、希望を持った者もいた!お前に、巻き込まれた者もいた!」

アルテミアは、押し戻そうとするが、ドラゴンキラーは逆に剣に食い込んでいく。

「それは…赤星のことか!」

アルテミアの体が変わる。

ストロングモード。

力を増したアルテミアの蹴りを、ロバートはひらりと後ろに飛び、かわした。

瓦礫の上から、地上に降り立ったロバートを追って、アルテミアも着地する。


「彼だけではない。お前のわがままで、世界は混乱している。お前はただ、魔王に反抗したいだけ…母親を手をかけた父親に、復讐したいだけだ」

ロバートの言葉に、アルテミアはキレた。

「てめえにだけは、言われたくないな!てめえだって、私怨の為に戦っていただろが!」

アルテミアは、ロバートのドラゴンキラーを指差した。

「そうさ…。だけど、誰かに迷惑をかけたことはない。俺は、自分の体を常に、対価にしてきた。今もな」

ロバートの眼窩には、目玉が入っていない。

「そして、今も…」

ロバートは、ドラゴンキラーに触った。

ドラゴンキラーの輝きが増す。

「こいつを、ただのドラゴンキラーと、思うなよ。俺とサーシャ…二人の命を刻んでいる」

ロバートは、ドラゴンキラーの切っ先を、アルテミアの心臓に向けた。

「ただ癇癪を起こし、本当に大切なもの…守るべきものもわからぬ馬鹿に、負ける気がしない」


「ほお」

アルテミアは、感心したように言うと、

「だったら!それを証明してみろ!」

アルテミアの姿が変わる。

六枚のコウモリのような翼に、赤き瞳。

圧倒的な魔力が、その周りの空気を震わした。

「神の力を、味わえ!」

アルテミアの両手が、青白くスパークする。

「神だと!破壊しか知らない小娘が!」

ロバートは、ドラゴンキラーを縦に構えた。

「人の…思いの強さを教えてやろう」
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