天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「それよりも、見てください!」

映像が、きのこ雲に接近し、地上を映す。

まだ残る爆風の中、威風堂々と出てくる人影。最初は誰かわからなかったが…マリアは歓喜の声を上げた。

「あたしは、夢見てたの!核…というより、放射能に汚染されず、かつ!核の衝撃にも耐えられるボディを」

「ディグ…」

黒きボディに、赤いモノアイが、不気味に佇む。 

「チェック完了!どこもダメージは、受けていません!」

オペレーターの報告に、マリアは満足そうに頷いた。

「このディグが、量産化されたら…人の地位は、大きく変わるわ」



作戦指令室に、いきなり赤いサインが点滅した。

「どうした?」

マリアが、周りのオペレーターにきいた。

「何か、こちらに近づいているのか?」

西園寺は、オペレーターに近づいた。

「いえ!こちらではありません。このレッドサインは…ディグからです!ディグが、敵を見つけたみたいです!」

「敵だと!」

「はい!魔敵反応……レベル計測不可!ですが、敵は分かります!まだ数十キロ離れていますが…」

オペレーターは、叩くキーボードの手を止め、絶句した。

「て、敵は………天空の女神!アルテミアです!」

「アルテミアだと!」

西園寺は思わず、声を荒げた。

作戦指令室に、騒めきが走る。

「まずいわ!まだ女神と戦う時ではないわ」

マリアの顔から、笑みが消えた。

「ジェシカ!聞こえる!そちらに、天空の女神が向かってるわ!すぐに、離脱して!」

マリアの命令に、ジェシカの応答がすぐになかった。

「ジェシカ!」



「駄目です!こいつ…勝手に…遊撃モードに入ってます!」


画面に映るディグの背中から、巨大な二枚の翼が現れた。
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