天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
生きて…例え、会えなくても
「みんな…」

地面に転がる…仲間の死体。

どうやって…やられたのかが、理解できなかった。

何とか、顔だけ上げたサーシャに、もう魔力を使うポイントはない。

気力だけで、地面の土を爪でえぐりながら、立ち上がろうとする。

「ほう。我が技をくらって、動ける人間がいたとはな」

二本の角をはやし、赤い髪に、口元からこぼれる牙。

スラッとした長身に、細い手は一瞬、華奢に見えるが、

サーシャを見下ろす眼光が、見た者の自由を奪い、精神すらおかしくさせる程の恐怖と冷たさをたたえていた。


天空の騎士団の1人…サラ。

空飛ぶドラゴンを率いる為、魔王が自ら創った−−竜神である。

サーシャはサラから、目を背けず、立ち上がる。

構えたが、右手のドラゴンキラーはもう…折れていた。

「人間の女は、戦闘向きでないと聞いていたが…」

サラは感心しながら、笑った。

「それとも…お前は亜流か?」


サーシャは構えながら、絶対勝てぬことを悟っていた。

しかし。

「この地に眠る…精霊の魂よ…。我が身を捧げますゆえ…我に、最後の力を」

サーシャの目が、光る。

「うん?」

サラとサーシャの周り大地から、

蛍のような光の玉が、無数に浮かび、暗い戦場を淡く染み出した。

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