天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「魔王からの伝言?」

「そう」

リンネは立ち上がり、西園寺に近づいた。

長身のリンネは、178センチの西園寺より、遥かに高い。

少し威圧感を感じながらも、西園寺はリンネから、視線を外さない。

リンネは微笑み、

「王からの伝言はこう……お前を、自分の後継者に迎えてもよいと」



「後継者!」

予想もつかなかったリンネの言葉に、西園寺は思わず声を荒げた。

「そう…赤星浩一亡き後、魔王と同じ…バンパイアの力を持つのは、アルテミアとあなただけ。王は、あなたを…」

「待て!」

話の途中だったが、西園寺はリンネの言葉を、遮った。

「先輩…赤星浩一がどうなったって…」


「死んだわ」

リンネは、あっさりと言った。

「死んだ!?」

「最新の報告では、そうなっているわ」

「馬鹿な…」

西園寺は、絶句した。

少し茫然となる西園寺に、リンネは驚いた。

「死ぬことが、おかしい?」

西園寺は、声を荒げ、

「彼は、この世界でも、有数の実力者になっていたはずだ!そう簡単には…」

「魔王レイにやられたのよ」

「魔王レイ…?」

「先代の魔王よ。今は、あの大陸しか、力を発揮できないけど…実力は、ライ様に匹敵するわ」



「先輩…」

別に、赤星のことなど、気にもしていなかったが…漠然といずれ、戦うような気がしていた。

しかし、それももう…叶うことはない。

すぐに、気持ちを切り替え、

「赤星浩一が、死んだから…俺を、手駒の一つとして、置いておきたいということか」





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