天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
絶叫するレイの後方、吹き抜けになった城から、空が見えた。

どん寄りと曇った空が裂け、そこから、日射しが差し込み……レイを照らす。

「この力は、太陽!」

太陽に照らされる赤星を、レイは驚愕と恐れの混じった目で、見つめた。


「太陽のバンパイアだと!」


僕は、シャイニングソードをレイから抜くと、レイの首から手を離した。

石の床に落ちるレイは、もう足元が灰になっていた。

「太陽のバンパイア……」

レイの体が崩れていく。

僕は、レイに背を向けて歩きだす。


「はははは!」

レイの最後の笑いが、こだました。

「残念だな!お前が、この力を持つ限り!お前は、アルテミアとは結ばれない!あやつは、闇よ!お前の太陽で、灰になるだけよ!」

もうレイの形も、留めていない。

「お前こそが、真のバンパイアキラーだ!」


灰と化したレイの体は、風に吹かれ…どこに飛び散っていった。

赤星は振り返らず、足を止めた。

目をつぶり、

「あんたは知らないんだ……アルテミアは…」

僕の瞼の裏にアルテミアが、見える。

「いつも輝いてる太陽なんだ」

僕は、目を開け、歩きだした。


僕が倒れていたところに、ティフィンが立っていた。

涙でクシャクシャ顔を、僕に向けている。

僕は、ティフィンに笑顔を向け、

「心配かけたね」

「赤星………」

だけど、ティフィンの涙は止まらない。

「そうだ!」

僕は思い出した。

「フレアはどこだ!この部屋には、いなかったけど…」

キョロキョロと周りを見回し、

「吹き飛ばしたところには、気配を感じなかったから……もしかして、城の外なのか?」

気を探る僕の前で、ティフィンは泣きじゃくる。

「フレアは…フレアは……」


「フレア!」

動きの止まった城の中で、フレアを呼ぶ僕の声と、

ティフィンの泣き声だけが、響き渡っていた。




城の一帯を覆っていた分厚い雲は、晴れ………

レイが幽閉されてから初めて....太陽が姿を見せた。
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