天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
時は少し戻る。

レイが倒れた次の日。

目の前に広がる太平洋を、崖から、眺める僕とティフィンがいた。

ロストアイランドを包む結界は、まだ生きているが…今の僕には、意味がなかった。


「フレア……メロメロ…」

僕は潮風に吹かれながら、目をつぶり、拳を握り締めた。

この地に来て、数ヶ月。

僕はみんなのお陰で、また成長できた。

だけど、その代償はあまりにも、大きい。

「赤星…」

ティフィンが空中に浮かびながら、僕の顔を覗いた。

「結局…」

僕は目を開け、果てしない地平線を見つめた。

「バンパイアキラーとは、僕のことらしい…」

僕は、苦笑した。

「赤星…」

ティフィンは何と話していいのか、わからなかった。

「だけど……」

僕は、ティフィンを見、

「それなら……僕が頑張ればいいだけだ…」

僕は、また海を見つめ、

「だったら、頑張れる」





「お主は、魔王ライを倒し……この地を解放するつもりか?」

僕は、声がした方をゆっくりと、振り返った。

先日出会った老婆や、この大陸の人々がいた。

「お前は、何がやりたかったのじゃ!レイ様を倒し…この大陸を解放する!我々は、また人間に迫害されるだけじゃ!この疫病神が!」

老婆は石を投げた。

その石は、僕に当たる前に、破裂した。

「ヒィィ!」

僕の圧倒的な魔力を感じ、人々は後退る。

僕は、老婆達から、視線を外すと、

「ここは、解放しない!」

その言葉に、人々が騒めく。

「だけど…」

僕はティフィンを見た。

「魔王ライが、ばらまいた…妖精達を殺す物質は、排除して貰う」

僕は振り向き、ロストアイランドを見た。

「ここに残りたい者は、残ればいい!だけど、ここに閉じ込められ…外に出れない者には、自由に生きれる権利がある!」

僕のやることは、決まった。

「ここ以外でも、みんなが住めるような世界をつくる!」


「赤星!」

ティフィンは、僕に抱きついた。

「お前も、ロストアイランドから自由になれるように、してやるよ」



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