天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
カイオウは頭を上げ、

「あなた様も、ティアナ様も、ただ壊れるだけです!あなたは、勝つこともできず……ただ心の傷を、持つだけになります」

カイオウの言葉に、アルテミアはキレた。

「じゃ!どうしろというんだ!」

カイオウは再び、頭を下げ、

「待つのです!あなたを救う者!あなたを愛する者を!」

アルテミアは、息を飲む。

「赤星浩一が来るのを!」



「赤星?」

アルテミアは鼻で笑った。

「どうして、あたしが、あんなやつを待たなければ、いけないんだ!」

「彼は、目覚めました!ティアナ様に代わる…我ら魔物を照らす存在に!」

カイオウの言葉に、アルテミアはせせら笑った。

「あいつが?あんなやつがかあ!」

アルテミアの脳裏に、赤星の姿が甦る。

アルテミアが負けた時、無謀にもネーナやマリーに、戦いを挑んだ姿。

カードシステムの塔の前で、赤き鎧を身に纏い、ライトニングソードを構えた赤星。

(あの時、あいつは何て叫んでたったけ…)

アルテミアの放つ空雷牙を、向かってくる赤星の叫び。

「僕は、アルテミアのことが!」


アルテミアは頭を振り、記憶をかき消した。

そして、大きく翼を広げた。

飛び立とうとするアルテミアの後ろで、カイオウが立ち上がる。

「行かせは、せぬ!水の騎士団長の意地にかけても!」

剣を構え直すカイオウを、ちらっと見たアルテミア。

「くどい」

一言だけ発した。

「どうしても、行くというなら!我を殺してからにしろ!」

カイオウの突きが、アルテミアに向かってくる。

アルテミアは、ドラゴンキラーを見つめ、ゆっくりと振り向いた。

そして、

「Blow Of Goddess…」

いつもの槍ではなく、ドラゴンキラーをかいした女神の一撃を放った。


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