天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
魔界に向かう途中、魔物に襲われる人々を次々に、助け回っていた僕は、実世界でいう朝鮮半島の手前で…

チェンジ・ザ・ハートの中に残るティアナの意識に、止められた。

そして、ティアナから告げられた言葉に、僕は息を飲んだ。

「お願い…」

ティアナの言葉に、僕は一瞬動きが止まった。

それは、信じられない…僕には、想像もできない言葉だった。

「それは……あなたしかできないこと…」

「……」

ティアナの言葉に、言葉を返せない。

「この世界にいる者は…これがなければ、生きていけなくなったわ……だけど…本当はいらないもの…。これがあるから……人は、戦わなければならなくなってしまった…」

僕は、朝焼けの太陽の照り返しを受けて、海面に落ちる自分の影を見つめていた。

「人を助ける為…人が、生きる為につくったはずが……今は、権力の象徴となり、富の欲望の証になってしまった」


「だけど……」

やっと出た言葉が、それだけだった。

「お願い……」

ティアナが、心から赤星に頼んでいることはわかった。

「しかし……」

こんな言葉しか出ない。

「あなたは…この世界で生まれた人ではない。違う世界からきた…エトランゼ…」


僕は、唇を噛み締めて…何とか言葉を発した。

「だけど……人々から、戦うすべを奪うことになります」


「大丈夫……。精霊達が、この世界に戻ったら…」

「それは……」

「魔王…ライを倒したら…」

僕は、昇っていく太陽に全身をさらした。



「お願い……」

僕は目をつぶった。


「カードシステムを破壊して……」

それは、エトランゼである僕にとっても……辛い言葉だった。


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