天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「馬鹿になどしていない!ただ……」

僕は、シャイニングソードで受けとめながら、西園寺の目を見た。

涙の滲んだ瞳を。

「ただ……もう戻れない。人にも、もとの世界にも」

「馬鹿か!もとの世界なんて、どうでもいい!俺は!この世界を支配したかった…………」


西園寺の言葉は、途中で止まった。

「それは、無理なんでしょ…。だったら、おとなしく死になさいよ」

いつのまに、西園寺の真後ろまで来たレイラが、背中から剣を、突き刺していた。

剣は、心臓を正確に貫いていた。

「見苦しい」

レイラは、剣を抜くと…西園寺の胸と背中から、鮮血が吹き出した。

最後の止めとばかりに、剣を振り上げたレイラを、僕は左手を突き出して、気で吹っ飛ばした。

「な!」

驚きの表情で、レイラの体が数メートル…玉座の方へ押し戻された。



「ああああ…」

鮮血を吹き出しながら、西園寺は、僕に背を向けた。

そして、手を上に向けた。

「ああああ…アルテミア…」 

磔にされたアルテミアの方へ、手を伸ばした。

その様子を見ていた僕は、ゆっくりと西園寺に近づき、後ろから肩に、手を置いた。

西園寺の体が、発火する。

「あああ!」

暖かい炎に包まれながら、西園寺は涙を流しながら、灰になっていく。


「太陽のバンパイアか…」

バイラが呟いた。


< 714 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop