天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「き、貴様!」

燃え尽きていく西園寺を見送る僕の後ろから、レイラが剣を振り上げて、飛び掛かってくる。

僕はそれを、振り返らずにシャイニングソードで受け止めた。

「あんたは…」

僕は後ろを振り向かず、唇を噛みしめ、目をつぶった。

聞こえてくる声は、ティアナと一緒だ。

だけど、違う。何もかもが違う。

「違う!」

僕は後ろに下がり、膝打ちをレイラのボディに食らわし、そのまま体勢を変えると、剣の柄で、レイラの顔を殴った。

「こいつは、ティアナではない!」

僕は、前にいるライを睨んだ。

「それが、わかっているのに、アンタは殺せない!愛する人の体だったからか?生き返ったところで!ティアナさんじゃない!」

僕の目に、涙が溢れた。


「だから、言っているだろ!あたしは、ティアナじゃないっさ!」

レイラの持つ剣が、ライトニングソードそっくりになる。

雷鳴を纏い、僕の頭上に向けて、振り落とす。

「あんたは、愛する人を侮辱している」

僕は、ライを睨み続けた。


「死ね!」

振り落とされた切っ先を、僕は受け止めた。

指一本で。

「なっ」

絶句するレイラの体を、受け止めた人差し指から出る炎が、螺旋のようにレイラに巻き付いた。

「さようなら……ティアナさん。約束を果します」

僕は、シャイニングソードを、片手で一回転させた。すると、シャイニングソードは、ライトニングソードに変わる。

「ライトニング!ブレイク!」

ライトニングソードを回転させて、ドリルのようにして、僕は空中で止まっているレイラに、突き刺した。

炎の回転と、雷鳴のドリルが、レイラを破壊する。


「あ、あたしは……」

消え去る瞬間、レイラの目に…磔にされたアルテミアと、玉座に座るライが映った。


「アルテミア…」

レイラの瞳から、一筋の涙が流れた時……レイラは消滅した。

< 715 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop