天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「やいやい!ここが、どこだが、わかってるのか!ここはな!マシュマロ森で、西日本を支配していた…からくり義手のバイ様の一番弟子!牙狼のヤスベエの、テリトリーだ!」
大陸を渡る一本道で、荷馬車は止まっていた。
「我々は……行商の途中で…」
年老いた老夫婦と、孫だと思われる子供が1人。
護衛につけていたと思われる剣士は、狼男の群れに囲まれる前に、かなわないとみてか…逃げ出していた。
「そんな人間の都合なんて、知らないな!」
ヤスベエは、20匹はいる仲間で荷馬車を囲うと、老夫婦に近づいた。
「お前らはもう、うまくないからな……そこのガキを渡せや!」
凄むヤスベエに、老夫婦は孫を抱きしめ、
「この子は、まだ五歳です!どうか見逃してやってください!わ、わたし達…二人はどうなっても、かまいませんから…」
震えながらも、孫を庇う老夫婦に、ヤスベエは笑いながら、舌を出した。
「いやだね〜!」
そして、口を開け、鋭い牙を見せると、
「邪魔くせい!三人とも、食っちまうぜ!」
「最近は…狼男に、縁があるな」
ヤスベエの頭上から、声がした。女の声だ。
「誰でい!」
顔を上げたヤスベエの目に、荷馬車の上で、太陽に照らされた女がいた。
照り返しの為、顔はわからない。
「やいやい!誰でい!」
凄むヤスベエと違い、荷馬車を囲んでいた仲間達の様子が変わる。
ガタガタと震えだす。
「あ、あ、あ、兄貴…」
荷馬車の上の女を、指差す指が震えている。
「何だ?ヒコザエモン!人間の女なんかに、怯えやがって…」
と言ったヤスベエの体が、凍り付いた。
雲が、太陽を隠した為……ヤスベエにも、その女の顔が見えた。
「ああ、あ、あ…」
今度は、ヤスベエの震えが止まらなくなる。
「フン」
荷馬車から、飛び降りた女を見て、ヤスベエは腰を抜かした。
「あ、あ、アルテミア!ブロンドの悪魔!」
ヤスベエの叫びを聞いた瞬間、周りからも声が上がる。
「アルテミア!」
大陸を渡る一本道で、荷馬車は止まっていた。
「我々は……行商の途中で…」
年老いた老夫婦と、孫だと思われる子供が1人。
護衛につけていたと思われる剣士は、狼男の群れに囲まれる前に、かなわないとみてか…逃げ出していた。
「そんな人間の都合なんて、知らないな!」
ヤスベエは、20匹はいる仲間で荷馬車を囲うと、老夫婦に近づいた。
「お前らはもう、うまくないからな……そこのガキを渡せや!」
凄むヤスベエに、老夫婦は孫を抱きしめ、
「この子は、まだ五歳です!どうか見逃してやってください!わ、わたし達…二人はどうなっても、かまいませんから…」
震えながらも、孫を庇う老夫婦に、ヤスベエは笑いながら、舌を出した。
「いやだね〜!」
そして、口を開け、鋭い牙を見せると、
「邪魔くせい!三人とも、食っちまうぜ!」
「最近は…狼男に、縁があるな」
ヤスベエの頭上から、声がした。女の声だ。
「誰でい!」
顔を上げたヤスベエの目に、荷馬車の上で、太陽に照らされた女がいた。
照り返しの為、顔はわからない。
「やいやい!誰でい!」
凄むヤスベエと違い、荷馬車を囲んでいた仲間達の様子が変わる。
ガタガタと震えだす。
「あ、あ、あ、兄貴…」
荷馬車の上の女を、指差す指が震えている。
「何だ?ヒコザエモン!人間の女なんかに、怯えやがって…」
と言ったヤスベエの体が、凍り付いた。
雲が、太陽を隠した為……ヤスベエにも、その女の顔が見えた。
「ああ、あ、あ…」
今度は、ヤスベエの震えが止まらなくなる。
「フン」
荷馬車から、飛び降りた女を見て、ヤスベエは腰を抜かした。
「あ、あ、アルテミア!ブロンドの悪魔!」
ヤスベエの叫びを聞いた瞬間、周りからも声が上がる。
「アルテミア!」