天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「え?」

アルテミアの言葉の意味が、わからなかった。

アルテミアは、下を向けながら、こう言った。

「あたしのことが、好きなんだろ?」

「へえ!」

思いも寄らないアルテミアの言葉に、僕は素っ頓狂な声を上げた。

アルテミアは、顔を真っ赤にし、

「言っただろ、お前!格納庫の前で、あたしに向かってきた時に……アルテミアが好きなんだ!……って、絶叫しただろ?」


(聞かれていたのか……)

僕は絶句した。あれは、爆風に消されて、届かなかったはずだ。


無言の僕に、アルテミアは苛立ち、

「それとも、何か?あれは、勢いってやつか!」

「ち、ちがうよ!」

慌てて、否定した。気持ちは合ってるけど、タイミングと心の準備ってものがある。

こんな風に言われたら、どう対処したらいいのかわからない。

「好きなんだろ?」

アルテミアは、目をつぶり、言葉を待つ。

「う、うん……」

「男なら、はっきり言え!」

「す、好きです」


僕の言葉を聞いて、アルテミアは頷いた。

「よし」


そのまま、飛び立とうとするアルテミアに、僕は焦った。

「ち、ちょっと待ってよ!言わせただけ!?」

「何だ?」

アルテミアはまた止まった。

「返事とか…ないの?あ、だから、アルテミアの答えは…」

僕の言葉に、アルテミアはフッと笑った。

「そういうのはな…。好きと言ったやつが、負けなんだよ」

そう言うと、アルテミアははにかみ、猛スピードで、太陽に向けて飛んでいく。


「あ、アルテミア…」

僕は、何と言ったらいいのか、わからない。

(これは……アルテミアも僕のことは、好きなのかな……き、嫌われてはいないよな)

女の微妙な感情が、僕にわかるはずがない。

アルテミアも、その辺の駆け引きが上手いとは、思えない。

悩めば、悩む程…わからなくなっていく。


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