天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
誘いを断ってから一度、香織からの電話があった。

しかし、それも断ると、

「あ、そう!」

恐ろしい剣幕で、電話を切られた。

そして、二度と電話がかかってくることはなかった。





「そして…どうしても気になったあなたは、ここに様子を見に来たと…」


「はい…」

その場で、崩れ落ち…真っ青になっている洋子の前に、僕がいた。

そして、その向こうには…

人ではない姿を晒し、死んでいる香織がいた。

さらに、建物中に転がる死体の数。



「香織のお母さんから…電話があったんです。最近、香織が変な団体にはまっていて…家のお金を持っていっているって…。それを聞いて、ピンと来たんです。ここだって…。だから、来たんです」



母親の電話の後、前に来た建物に向かった。

ドアを開けた瞬間、異臭がした。

そして、中に入った時、血まみれの香織がいた。

「…私を見捨てないで…私を馬鹿にしないで」

香織の瞳から、涙が流れると同時に、

彼女の姿が変わった。

「私を憐れむな!」

そして、洋子に襲いかかって来た。

「私は、素晴らしい人間なんだ!」



それが、香織の最後の言葉になった。


「いやあああ!」

目をつぶった洋子の瞼の向こうに、眩しい光を感じた。




< 749 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop