天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
患者達の言葉に、赤星はキレた。

「馬鹿な!あんたらは…他人から、他人の命から採取してるんだぞ」

「無駄だ…赤星。こいつらは、もう人間じゃない」

ピアスの声が、ため息をついた。

「どうして……」



「ククク…」

医師は笑う。

「助かりたいから、病院に来る。生きたいから、死にたくないから、ここに来る!」

「当たり前だろうが!病院なんだから!」

僕は、剣を構えた。

「しかし……助からないと知ったら、どうする?死ぬとわかっていたら、どうする?助かる方法が、あるとしたら、どうする?」


「詭弁だ!」

僕は、剣を医師に突き刺した。

「…助かっても、意識を乗っ取られている!それで、生きてると言えるか!」

医師は消滅すると、患者の1人の肉体が、歪み……今消滅した医師に変わる。

「それは、意志が弱いやつが悪いのだよ」

「チッ!」

僕は、ジャンプして、剣を振るおうとしたが、

四方から伸びてきた枝に空中で、絡み取られた。

「よく言うだろ?病は気からと!ククク…」

医師は、僕に顔を近付けると、含み笑いを嬉しそうに浮かべた。

「こんなもの!」

僕の全身が赤く輝き、絡みついた枝を焼こうとした。

「いいのか?ここを破壊して!下の人間は生きてる!それに、まだ侵食が完了していない患者もいるぞ」


「くそ!」

僕は、炎の発動を止めた。

わなわなと全身を震わせ、叫んだ。

「自分を保つことができないなら……望むな!」


「望んだら…いけないの?死にたくないと、望んだらいけなかったの?」

僕の目の前に、廊下であった子供が降りてくる。

「望んだら……いけなかったの?僕は…死んだ方がよかったの?」

子供の無垢な瞳を向けられ、僕は動けなくなった。

(そうだ……この子達に、何の…罪がある)

僕は、首をうなだれた。


「お前は…罪のない人々を殺そうとしているのだよ。先程の…少女みたいにな」

医師はにやりと、口元を緩めた。

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