天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「進化を止めた…この化け物が…進化…」

沙知絵は、中村のいう意味を考えた。

「世界中に残る…神話や伝説…それは、人が進化を止める為に、行ってきた行為の記録!そして、あらゆる化け物が、個体で進化した人間達だよ」

中村は、少し悲しそうな表情を浮かべ、

「我々は…進化に置いていかれた劣等生物…だが!」

中村は、手術台の死体を睨み、

「生物学の進化から、見捨てられた我々だが!進化とは、別の形で、我々はすすんできた!」

中村は、どこからか銃を取出し、手術台の死体を撃った。

「武器だ!我々は、劣等生物に成り果てたが…この星を、破壊できるまでになった!だが!」

中村は、銃口を沙知絵に向け、

「我々は、この世界がなくなったら、生きていけない!」

フッと笑うと、銃を床に叩きつけ、

「神よ!もしいるなら!……なぜ、我々に自我を与えた!」


中村は泣いていた。

「滅びるだけなら…ゴミのように、廃棄したらいい!我々に、なぜ自我を与えた!」

中村は絶叫し、沙知絵にすがりついた。

「死にたくない!滅びたくなあいいいい!」

「博士!」

すがり中村を、沙知絵はどうすることもできなかった。


「わ、私は!いや、ここにいる…すべての生き物は!」

中村の顔は、涙でぐちゃぐたちゃだ。

「滅びる運命に逆らっている。研究に研究を重ね…。君は、考えたことがあるかね?生物のトップにいるはずの人間が…なぜ、ここまで、武器を進化させ続け…地球を破壊できるまでに、なったのに…怯えている」

中村は、手術台の死体を見つめ…ガクガクと震え、

「それは…我々が、劣等生物だとわかっているからだよ」

中村は、手術に近づき、死体に触れた。

「何と…固い皮膚…銃器類でも破壊できない…」

愛しそうに、死体の表面を撫で、

「その癖…心の奧では…願っているんだよ」

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