「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
佐紀は、迷わずバスケット部に入部した。
しかし、1年生の間は、
ほとんど、試合に出る事はなかった。
佐紀は、まだ線が細くて、
練習では、そこそこ出来るものの、
たまに競り合いで、ぶつかったりすると、
よろけてしまっていた。
それを見たコーチの野村は、
試合に出して、ケガをされるよりも、
競り合い時の体の使い方を覚えるまで、
待とうと考えていた。
佐紀は、ベンチ入りは出来たものの、
大差がついた時、1クォーターくらい、
出るだけだった。
野村コーチは、佐紀の
全体を見る能力を、買ってはいたが、
それを佐紀に言うことは無かった。
“今は、
大学のバスケットに慣れるのが
先決だ。
その中で、自分なりに、
能力を伸展してくれれば
それでいい”
野村コーチは、
目先の勝ちに行くようなことは、しなかった
そして佐紀も、
1年生は、そんなものだろうと思って、
全然、気にしていなかった。