「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
佐紀が目を覚ますと、ベッドの上にいた。
あたりを見回すと、
どうやら、病院のようだった。
そして、ベッドの脇にいた、
伯母さんとキャプテンの姿が映った。
「あっ、サキちゃん、気がついたのね。
もう、びっくりしたわよ」
「サキ、大丈夫?
気分は、どう?」
「大丈夫です」
佐紀の声は、虚ろだった。
そう言った後、佐紀が起き上がろうとすると
伯母さんが、
「いいわよ、いいわよ、寝てて。
大丈夫じゃないわよ。
あなたこの頃、
あまり食べてないでしょ。
いつかこうなるんじゃないかと、
心配してたのよ」
矢島も、佐紀の体の酷使を心配していた。
矢島のバスケット人生の中で、
これほどの必死さは、見た事が無かった。
こんな事をしていたら、
佐紀が、いつか倒れるんじゃないかと、
心配し、気を遣っていた。
そして、その心配が、
現実のものとなったのだった。
「伯母さんから、全部聞いた。
大変だったね。
何も知らなくて、ゴメンね」
「いいんです。
私なんか………」
そう言いながら、佐紀の目尻から、
涙が溢れ、流れ落ちた。