「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
お婆さんたちは、佐紀の事は忘れて、
二人で話し始めた。
佐紀は、二人の干渉から逃れられて、
ホッとしたが、
話は否応無く、聞こえて来た。
「ウチの爺さんは、おととし、
逝ってしもたんじゃが
アンタとこの爺さんは、
健在かのう」
「ウチのダンナは、20年前に、
逝ってしもたんや」
「ほう、そりゃ、若うしてのう」
お婆さんたちの歳からすると、
20年前と言っても、
60は過ぎていると思うけれど、
お婆さんたちにすれば、
若いという事になるのかもしれないと、
佐紀は思った。
「ああ、せやけど、せいせいしたわ」
「そりゃ、また」
「ウチのダンナは、酒飲んで暴れるわ、
外に女は作るわで、もう、
振り回されっぱなしやったんやわ。
そら、死んだときは、悲しかったで。
せやけど、これで解放されるってのも
半分、あったんや」
「アンタも、苦労してきたんじゃな」
「その分、それからは、
好き勝手、やらせてもらってるわ。
アンタの言うた様に、
帳尻、合わさんとな」
「そりゃ、ええことじゃ。
あんた、子供は、居なさんのかな?」
「ああ、娘が二人。
浮気の数だけ、女の子が出来るって、
言うやんか。
ウチは、男の子なんか、出来へんわ。
まっ、二人とも嫁いで、
その二人の間を、
行ったり来たりやけどな。
ここの上の娘のトコに居てるとき、
具合が悪うなってしもてん。
アンタんトコ、子供は?」
「私んトコは、男の子が一人」
「ほ~う、男の子。
そら、ええやんか」
「そうでもないんじゃが」
「どないしてん」