「部活~ウチらバスケ部~番外編」 佐紀、二十歳
佐紀が目を覚ますと、お母さんがいた。
「あっ、起きた? どう? 気分は」
「うん、大丈夫」
そう言う佐紀の声には、力が無く、
感情にも乏しかった。
「ちょっと待ってね」
お母さんは、ベッドのボタンを押すと、
佐紀の上体が起き上がった。
「もう、心配かけないでよ。
姉さんったら、“倒れた”としか
言わないもんだから、
慌てて、飛んできたわよ」
「ゴメン、私もちょっと、
パニックになってたみたい」
「アナタはもう、無茶するんだから。
ホントに、私はもう………」
佐紀は、母の小言が延々と続くのかなと、
うんざりしていたが、
伯母さんが、それを遮ってくれた。
「まあまあ、大した事なかったんだから
いいじゃない」
「そうね、ホント、よかったわ。
先生の話だと、
脱水症状になってたみたい。
大事を取って、今日一日入院すれば
大丈夫みたいよ」